近況

二十歳を過ぎたくらいから、子供が欲しくて欲しくて堪らない。大好きな莨もやめた。もし私にたったひとつ望みがあるとすれば、世界で一番優しい母になりたい。子供の頃の記憶。私にとって母は、世界で一番優しい人。この世の誰よりも、優しくて美しい人。子供の時、自分の母が世界で一番美しいと思っていた。そして今も、母以上に美しい人は居ないと思う。欠点も優しさも、知れば知る程に私の中に刻み込まれていく。時々思う。いつだって娘は母の生き写しなんだろうなあと。そんなふうに命は連続していくのかなあと。
心臓の弱い友達がいて、「こないだ定期検診で、妊娠、出産出来るか微妙だって云われた。病気のことは彼氏も知ってるけど、今付き合ってる彼氏と結婚することになっても、向こうの親は嫌がるよね。そんなことを考えてたら鬱な妄想がどんどん広がって、眠れなかった。」と相談された。それはとても辛いだろうな、と思ってなんとか慰めの言葉を探すけれど、でもやっぱり何を云っても励みになんかならないだろうと思うし、せめて辛い時に傍に居てあげることくらいしか出来ないと思った。いくら出産は男女二人の問題だといっても、自分が生きて行くのに必要な薬で妊娠が出来ない体になる可能性があることや、もし体外受精をしても、育児をする体力があるかどうかもわからないことは、本人にとってものすごい欠落感だろうな。子供を作らない夫婦や、生みたくないという女性はたくさんいるけど、それも自分で選択するのでなければとても納得の出来ることではないだろうし、疎外感はどうしても埋めれるものではないと思う。悲しい思いをたくさんするんじゃないかと思うと、とても心配で自分の無力さにただ空しくなる。